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更新日:2019年3月7日
佐世保市では、持続可能な公共交通網の構築を目指し、平成26年度に交通事業者や利用者代表、学識経験者、行政関係者等から構成される「佐世保市地域公共交通活性化協議会」(以下、「協議会」と言う。)を立ち上げました。
平成26年度~27年度にかけた協議会による調査事業の結果、「利便性を維持した持続可能なバス事業を実現する」ためには、現行の複数社による運行形態ではなく、抜本的な改革としてバス運行体制一体化の提言がなされたものです。(以下、2~4が調査の経緯のまとめ)
本市としては、調査結果を重く受け止め、赤字路線を含めたバス路線維持を図るため、最適なバス運行体制について平成28年度に調査を行ったところです。
この調査の結果を受け、市では、議会・協議会・パブリックコメント及び調査報告会における住民の皆様のご意見等を踏まえ、「交通局を廃止し、させぼバス(株)が一部路線の受託運行を担い、西肥自動車(株)に路線を集約する」という方針に至ったところです
《参考》
本ホームページの公共交通のメニューの「佐世保市地域公共交通活性化協議会」参照
『佐世保市地域公共交通網形成計画』の1P~61Pまでが現状分析編となっております。その中で、バス事業について抜粋して整理しますと、以下のような現状といえます。
ここ10年間の鉄道・バスの利用者数を比較してみると、鉄道利用者は微増傾向にあるものの、バス利用者は年々減少している。さらに、今後10年間で1割程度減少するとの予測がでている。
市営バスと西肥バスが競合している区間は、1運行あたりの利用者数は多くはなく、平均25人の座席数がある中型ノンステップバスで言えば、平均すると座席の4割程度しか利用されていない。
一方、競合していない区間では、乗車人員が100人/日未満となっている路線をはじめ、利用者が少ない路線も多い。
バス事業に限れば、交通局は赤字、西肥自動車も補助金を除くと同じく赤字である。運転士の不足や、車両更新等の設備投資への負担も抱えている。
そうは言うものの、本市のバス利用を他都市と比較してみると、通勤通学に占める交通手段としては九州内の市の中で3番目に高い利用率を示しており、本市にとって、バスは重要な公共交通の要となっている。
このままでは、特に赤字路線の廃止や大幅な減便が危惧されることから、競合区間について、利用者の利便性を損なうことなく、効率的な運行(需要と供給にあった本数の整理が必要ですが、なるべく等間隔で運行されることや共通定期券の実現等)を行うことが必要であると考えます。すなわち、限られた経営資源(運転士・車両等)を最大限に有効活用し、経営改善を図ることで、バス路線の維持を可能とします。
調査結果から設定した目標・・・競合区間における3割削減及び共通定期券の実現
1.現行の運行体制は以下の通りです。(平成25年度の実績を基に概算で表示)
西肥バスは、西肥自動車(株)が210台分の路線営業権を有し運行を行っている。
市営バスは120台のうち、交通局が90台の路線営業権を有している。また、平成21年に佐世保市の100%出資会社として設立された、させぼバス(株)が30台の路線営業権を有している。なお、交通局は90台のうち、60台をさせぼバス(株)へ運行委託し、30台のみ自社で運行している。したがって、させぼバス(株)は路線営業権を有している30台と受託している60台を合わせた90台のバスを運行している。
2.(1)現行体制による検討・・・市営バスの路線営業権の大部分をもつ交通局と西肥自動車(株)が、各自、競合区間の見直しや共通定期券の実現について平成27年度に検討を行っています。検討の状況は以下の通りです。
具体的に検討する対象路線として「相浦線」を取り上げ、全ダイヤの主要バス停鹿子前入口における利用者データを用いて、前後のダイヤの調整の可否を検討したが、各事業者別々では利便性を低下させずにダイヤの整理を行うことは困難であった。
共通定期券を導入するには、大規模なシステム改修が必須となるが、スマートカードシステムに対応する部品製造中止等、システムの限界が迫る中、多額の投資は現実的ではないとの判断であった。
2.(2)連携体制による検討・・・西肥バスと市営バスが共同で運行し、ダイヤ調整を実施したうえで、1枚の定期券で他社のバスにも乗車可能とならないか、平成27年度に検討を行っています。他都市の事例も参考にした検討の状況は以下の通りですが、どの方式にしても、事業者同士の適切な運賃配分や効率的な車両運用が必要となります。
佐世保ー長崎、佐世保―福岡間のような高速バス方式の可能性について
特定区間を均一料金方式とする共同運行の可能性について
全区間方式での共同運行の可能性について
⇒⇒乗合バスの路線は、複雑な路線となっており、競合区間の距離も長いことから、特定の区間のみを共同運行とすることは運賃配分や車両運用の点から困難である。また、特に運賃配分の点からみると、どうしてもスマートカードシステムの大規模改修は避けられない結果となる等、事業者としては共同運行は不可能であるとの考えだった。
3.一体化体制による可能性について
利用者の利便性を損なわず、効率的な運行を実現するには、運賃配分や車両運用の面からも、これまでの運行体制のままではなく、抜本的な改革として運行体制の一体化を検討すべきであるとの調査結果がでました。
1.運行体制のパターン設定について
競合区間の整理やなるべく等間隔でバスが運行されるように等の効率的なダイヤとするためには、1か所でダイヤ編成を行うことが必要となります。そこで、バス運行体制を考える場合は、どの事業者がダイヤ編成を担うのかという視点で、検討を行うこととなります。
ダイヤ編成を西肥自動車(株)が担う。
ダイヤ編成を交通局が担う。
ダイヤ編成をさせぼバス(株)が担う。
ダイヤ編成を新会社が担う。
2.パターンの比較検討について
競合区間における3割削減の可能性と共通定期券の実現、さらには持続可能性について、パターンの比較検討を行い、実現可能性のあるパターンについて、将来的な収支シミュレーションを行いました。
その結果、バス事業のみで黒字化し、課題も解決可能であると思われるパターンとして、以下の2パターンが最適案となりました。
(1)西肥自動車(株)1社でバスの運行を担うパターン
(2)西肥自動車(株)がダイヤ編成を担い、一部させぼバス(株)が運行を受託するパターン
《参考》○地域公共交通再編に向けたバス運行体制一体化の調査結果(PDF:1,251KB)
市内部での検討として、以下の5点における課題についてどちらのパターンが解決策として有利となるかを検証した結果、「交通局を廃止し、させぼバス(株)が一部路線の受託運行を担い、西肥自動者(株)に路線を集約する」という方針に至りました。現時点での移行時期については、平成31年3月末までの実現を目指しています。
(1)運転士人材の確保と一体化体制へのスムーズな移行について
(2)行政の関与のあり方について
(3)利用者サービスの維持について
(4)三者で支える公共交通づくりについて
(5)させぼバスの取扱いについて
《参考》○移行にあたっての問題点・課題についての比較検討(PDF:236KB)
なお、方針決定の前に、市民の皆様の声を拝聴するため、パブリックコメント及び調査報告会を行いました。その中でいただいたご意見等は、方針決定を行う際の参考とさせていただきました。
平成29年4月1日より、市の方針に沿って、市と西肥自動車(株)が正式に協議を開始することとなります。協議項目は以下のようなことですが、「(仮称)市営バスの路線移譲とさせぼバスへの運行委託に係る基本合意書」の成立に向けた準備段階の協議となります。今後のバス路線の再編として、系統整理やダイヤ編成についてもこの協議の中で計画していくこととなります。
具体的には、市と西肥自動車(株)間で「バス運行体制一体化に向けた協議に係る協定書」を締結したうえで、平成29年度からの協議に臨むこととなります。
(1)市営バスの移譲路線について
(2)移譲時期について
(3)運行条件について
(4)交通局資産の利用方法について
(5)させぼバス(株)への対応について
(6)運行計画の作成について
(7)利用者への対応について
(8)運転士等の採用について
(9)バス事業についての市の関与と協力体制について
(10)その他必要となる事項について
《参考》○バス運行体制一体化に向けた協議に係る協定書(案)(PDF:127KB)
(1)バス運行体制一体化に向けた協議に係る協定書の締結について
市と西肥自動車(株)において、平成29年3月27日に正式に協定書を締結したことをお知らせします。平成29年4月1日より具体的な協議を開始いたします。
今後の協議の状況について、一定のとりまとめができた事項から、適宜、ご報告する予定です。
(2)平成29年度バス路線維持を目的とした住民説明会
市の方針及び協定書の締結を受けて、市と西肥自動車(株)との間でバス運行体制一体化後の最適な形に向けた協議を行っているところですが、これまでの経緯及びバスダイヤ再編の基本的な考え方をお示しするとともに、住民の皆様からのご意見をバス事業者とともに拝聴する機会として、平成29年12月から平成30年1月にかけて、市内25箇所の会場で「バス路線維持を目的とした住民説明会」を開催いたしました。
(3)平成29年度住民説明会の報告
上記説明会を実施し、これまでの経緯や一体化後のダイヤ編成の考え方、一体化によるサービスの向上について、各会場で住民のみなさまに対し直接説明させていただきました。その中で頂いたみなさまからのご意見を踏まえながらバス事業者との協議を進めて参りたいと思います。
なお、佐世保市地域公共交通活性化協議会(平成30年3月30日開催)及び市議会(平成30年4月13日)に対し、バス運行体制一体化の協議スケジュール、進捗状況とあわせて住民説明会の結果について報告を行いました。
(4)平成30年度バス路線維持を目的とした住民説明会及び状況報告
前回の住民説明会(平成29年12月~平成30年1月)の後も引き続き市と西肥自動車(株)で協議を進め、5月にはダイヤ編成を行うにあたっての工夫や、一体化後のサービスに加え、地域ごとのバス本数について一定の取りまとめを行いました。
この内容を住民の皆様にお伝えするため、平成30年6月30日~8月4日にかけて、前回と同じく市内25箇所で「バス路線維持を目的とした住民説明会」を開催しました。
住民説明会では各会場で様々なご意見をいただき、結果を取りまとめたうえで、佐世保市地域公共交通活性化協議会(平成30年8月10日)及び市議会(平成30年8月16日)に対し報告を行いました。
(5)佐世保市のバス運行体制一体化における基本合意書の締結
平成30年9月市議会において交通局廃止関連議案が承認されたことを受け、平成30年10月4日に市と西肥自動車(株)で「佐世保市のバス運行体制一体化における基本合意書調印式」を行いました。これからのバス路線維持に向けた取り決め事項をとりまとめた内容となっており、事業者・行政のお互いの立場で共にバス路線を守っていく共通認識を持ったところです。
バス運行体制一体化に向けて市とバス事業者との間で協議してきた内容について「佐世保市地域公共交通再編実施計画」としてとりまとめ、平成30年12月6日付で国へ申請し、平成31年2月7日付で認定を受けました。
これにより、計画期間において原則バス路線及び本数が維持されます。
認定日:平成31(2019)年2月7日
計画期間:平成31(2019)年3月1日~平成34(2022)年2月末日
【計画の概要】
〇将来にわたって公共交通サービスを維持していくことを目的とします
〇極力利便性を低下させることなく、利用状況に合わせたバス路線となるよう下記のようなダイヤ編成の工夫を行います
〇バス路線再編に合わせた利便性向上対策を実施します
〇バス路線のサービス基準の設定(区間ごとの運行本数)
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