更新日:2026年1月14日
離婚後の子の養育に関する民法等改正(共同親権等)について
父母が離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、2024年(令和6年)5月17日に、民法等の一部を改正する法律が成立しました。
この法改正は、こどもを養育する親の責務を明確化するとともに、親権、養育費、親子交流などに関するルールが見直され、2026年(令和8年)4月1日に施行されます。
主な改正内容
1.親の責務に関するルールの明確化
父母が、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責任を負うことなどが明確化されています。
【こどもの人格の尊重】
- 父母は、こどもの心身の健全な発達を図るため、こどもを養育する責務を負います。
- こどもの意見をよく聞き、人格を尊重しなければなりません。
【こどもの扶養】
- 父母は、こどもを扶養する責務を負います。
- こどもが親と同程度の生活水準を維持できるようなもの(生活保持義務)でなければなりません。
【父母間の人格尊重・協議義務】
- 父母は、こどもの利益のため、お互いに人格を尊重し協力しなければなりません。
※次のような行為は、この義務に違反する場合があります。この場合には、親権者の指定又は変更の審判、親権喪失又は親権停止の審判等において、その違反の内容が考慮される可能性があります。
■父母の一方から他方への暴行、脅迫、暴言等の相手の心身に悪影響を及ぼす言動や誹謗中傷など
■別居親が、同居親による日常的な監護に、不当に干渉すること
■特段の理由なく、一方の親がもう一方の親に無断でこどもを転居させること。ただし、ⅮVや児童虐待から避難する必要がある場合には、他方の親に無断で子を転居させたとしても、それらの義務に違反しません。
■父母間で親子交流の取決めがされたにもかかわらず、特別な理由もなく、その実施を拒むこと
2.親権に関するルールの見直し
父母の離婚後の親権者の定めの選択肢が広がり、離婚後の父母双方を親権者と定めることができるようになります。
【親権者の定め方】
- 協議離婚の場合、協議により親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。
- 父母の協議が調わない場合や裁判離婚の場合、父母とこどもの関係や、父母の関係など様々な事情を考慮した上で、こどもの利益の観点から、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。
【親権者の変更】
- 離婚後の親権者について、こどもの利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所が、こども自身やその親族の請求により、親権者の変更をすることができます。
父母双方が親権者である場合の親権の行使方法のルールが明確化されています。
- 親権は、父母が共同して行います。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他方が行います。
- 監護教育に関する日常の行為をするとき、こどもの利益のため緊迫の事情があるときは、親権の単独行使ができます。
【監護教育に関する日常的な行為の主な例】
| 日常の行為に当たる例(単独行使可) |
日常の行為に当たらない例(共同行使) |
- 食事や服装の決定
- 短期間の観光目的での旅行
- 心身に重大な影響を与えない医療行為の決定
- 通常のワクチンの接種
- 習い事
- 高校生の放課後のアルバイトの許可
|
- こどもの転居
- 進路に影響する進学先の決定(高校に進学せずに就職するなどの判断を含む)
- 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
- 財産の管理(預金口座の開設など)
|
- 特定の事項について、家庭裁判所の手続で親権行使者を定めることができます。
【こどもの利益のために急迫の事情があるとき】
- こどもの利益のための急迫な事情があるときとは、父母の協議や家庭裁判所の手続きを経ていては親権の行使が間に合わず、こどもの利益を害する恐れがある場合をいいます。
【主な例】
■ⅮVや虐待からの避難(こどもの転居などを含む)をする必要がある場合
■こどもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合
■入学試験の結果発表後に入学手続の期限が迫っているような場合など
【親権行使者の指定】
- 父母が共同して親権を行使すべき特定の事項(急迫の事情があるとは言えない場面)について、父母の意見が対立するときは、家庭裁判所が、父又は母の請求により、父母の一方を当該事項にかかる親権行使者に指定することができます。
父母の離婚後のこどもの監護に関するルールが明確化されています。
【監護の分担】
- 父母が離婚するときは、こどもの監護の分担についての定めをすることができます。こどもの利益を最も優先して考慮しなければなりません。
【監護者の権限】
- 離婚後の親権者を父母双方と定めた場合であっても、その一方を「監護者」と定めることで、こどもの監護をその一方に委ねることができます。
3.養育費の支払確保に向けた見直し
養育費の取決めに基づく民事執行手続が容易になり、取決めの実効性が向上します。
【合意の実効性の向上】
- 父母間で作成した文書に基づいて、養育費を確実に受け取れるよう、新たなルールの創設や見直しがおこなわれています。
法定養育費の請求権が新設されます。
【法定養育費とは】
- 離婚時に養育費の取決めがなくても、離婚のときから引き続き、こどもの監護を主として行う父母が、他方に対して、一定額を請求できる養育費を「法定養育費」といいます。法定養育費の額については、今後、法務省令で定められる予定です。
※法定養育費は、あくまでも養育費の取決めをするまでの暫定的・補充的なものです。こどもの健やかな成長を支えるために、適正な額の養育費の取決めをしていただくことが重要です。
養育費に関する裁判手続の利便性が向上します。
【裁判手続の利便性向上】
- 養育費に関する裁判手続では、各自の収入に基づいて、養育費の額を算定することとなります。今回の改正では、手続をスムーズに進めるために、家庭裁判所が、当事者に対して収入情報の開示を命じることができることとしています。
4.安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
家庭裁判所の手続中に親子交流を試行的に行うこと(試行的実施)に関する制度が設けられています。
【親子交流の試行的実施】
- 家庭裁判所は、こどもの利益を最優先に考え、親子交流を定めるため、手続中に親子交流を試行的に行うことができます。
婚姻中の父母が別居している場面の親子交流のルールが明確化されています。
【婚姻中別居の場合の親子交流】
- 父母が婚姻中にこどもと別居している場合の親子交流は、こどもの利益を最優先に考えることを前提に、父母の協議により定めます。協議が成立しない場合は家庭裁判所の審判等で決めることになります。
父母以外の親族(祖父母等)とこどもとの交流に関するルールが設けられています。
【父母以外の親族とこどもの交流】
- 祖父母など、父母以外の親族とこどもとの間に親子関係のような親しい関係があり、離婚後も交流を継続することがこどもにとって望ましい場合、家庭裁判所は、こどもが父母以外の親族との交流を実施するよう定めることができます。
5.財産分与に関するルールの見直し
6.養子縁組に関するルールの見直し
- 養子縁組がされた後に、誰が親権者になるかが明確化されています。
- 養子縁組についての父母の意見対立を調整する裁判手続が新設されています。
詳細については、法務省ホームページをご確認ください
参考情報

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