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更新日:2022年4月18日
令和4年1月、長崎大学医歯薬学総合研究科・口腔保健学川下由美子先生を講師に迎え、佐世保市歯科医師会、及び長崎県歯科衛生士会佐世保支部にご協力いただき、希望施設を対象に、高齢者および障がい者への口腔ケアについてオンライン研修会を実施いたしました。
研修会の内容をまとめたものを掲載いたしますので、広くご活用いただければと思います。
「オーラルフレイルってなに?」チラシ(PDF:105KB)(画像をクリックするとPDFが開きます。)
このチラシは口から食べる楽しみを支援する協議会が作成したチラシになります。「オーラルフレイル」がどういったことなのかということを、わかりやすく図に示していますので、是非、ご覧ください。「オーラルフレイル」は高齢者の方々の問題ではなく、若いうちから予防をしていくことで、将来、いつまでも美味しく食事をとることができ、健康的な生活を送ることに繋がっていきます。
口腔ケアの時は、介護者自身の感染予防のためにマスクやグローブ、ゴーグルやフェイスシールド、ディスポのエプロンなどにより防護をしてからおこないましょう。
コップ |
うがい用コップ1個と吐き出し用のコップ1個を用意します。 吐き出し用コップはガーグルべースン(ベッドサイドでうがいや嘔吐した後などに吐き出す用の容器)の代用となります。 |
歯みがきシート |
歯、舌、粘膜などの拭き取りに使用します。 |
義歯ブラシ | 義歯清掃専用です。 |
歯間ブラシ | 歯と歯の間の清掃に使用します。 |
スポンジ | 食残渣の取り出し、保湿剤塗布、出血傾向のある粘膜の清掃に使用します。 |
舌クリーナー | 舌清掃用です。 |
モアブラシ | 粘膜、舌清掃やマッサージに使用します。 |
歯ブラシ |
歯ブラシは毛先が硬いものは避けましょう。 |
その他にも口腔内状況に応じて使用を検討していきます。口腔リンスや保湿スプレー、保湿ジェルなどは口腔乾燥、汚染が著明な時に口腔ケアの前後に使用していきます。
保湿ジェル | 汚染や舌苔付着が著明な時は保湿ジェルを塗布し、汚染物を軟化させ清掃していきます。口腔ケアの後に保湿のため、薄く塗布します。 |
口腔リンス |
うがいに使用する以外にもスポンジやモアブラシに浸しながら清掃します。 |
ライト | 口腔ケア時にはライトを使用し、汚染状況や歯、粘膜の異常が無いかを確認します。 |
くるリーナブラシ | 口蓋や舌、粘膜に付着した汚染物を絡めながら清掃が出来ます。 |
吸引付きくるリーナ、吸引ブラシ |
吸引付き器具の使用に関しては各施設、病院などのルールに従って使用をしてください。 |
その他にもたくさんのケア物品がありますが、口腔内状況、その方に合った物を選ぶことが必要となります。かかりつけ歯科や訪問で来られる歯科衛生士へ相談されるとアドバイスされますので、是非、声かけ頂きたいと思います。
口腔ケアの方法について動画をまとめていますので、ご参考にしてください。
佐世保動画ナビ(健康と福祉に関する動画)にも同じ動画をアップしています。
※口腔ケアをするときは、時々口を閉じてもらい、休憩をしながらおこなってください。
まずは、対象者に対し今から何をするのかということを伝えましょう。
歯みがきをする前にお口の中の状態を見ます。その時に、どこに汚れが多く付着しているか、ぐらついている歯はないかなどを見ておくと歯磨きをする時に参考になります。
顎が上がらないように気をつけてください。うがいをする時は声かけをしましょう。
頭を支えながら下向きに吐き出しをおこなってください。声かけをおこないながらしましょう。
口角を引っ張るのではなく、指を頬の内側に入れて丸く広げます。お口を大きく開けると反対に磨きにくくなります。歯と歯ぐきの境目と歯と歯の間に歯ブラシの毛先を入れ込むようにして小刻みに動かしましょう。
歯と歯の間や隣の歯がない歯の側面を磨く時にも適しています。歯ぐきを傷つけないように気を付けましょう。入らないところは無理して入れないようにしましょう。
舌を掃除する時は、奥から手前に掃除してください。ブラシに付いた汚れはガーゼなどで拭き取り除きましょう。
顎が上がらないように気をつけてください。うがいをする時は声かけをしましょう。口の中に水分が残っていないか必ず確認し、しっかり拭き取ってください。
ガーゼや拭き取りティッシュを指に巻いて粘膜や舌など全体的に拭いていきます。
義歯専用のブラシを使うことをお勧めします。歯磨剤は使用せず、流水下で洗面器の上でおこないましょう。バネのところも忘れずに洗いましょう。
噛まない方で声かけにも従うという設定で実施しています。声かけをしながらおこなってください。ブラシに汚れが付いたら綺麗にしながら奥の方から手前に動かしましょう。
動画の中に「上唇小帯(じょうしんしょうたい)」や「骨隆起(こつりゅうき)」という言葉が出てきます。図で示していますので参考に見られてください。
オンライン口腔ケア研修会の中で参加施設から質問がありましたので、紹介します。
【質問】水分で誤嚥の危険がある利用者に対する、介護職ができる口腔ケアの方法を教えてください。
【回答】1.体位を整える。誤嚥させない体勢でギャッチアップ30度が好ましく、頸部後屈にさせない。
2.歯ブラシで清掃する場合は、歯磨剤の使用は避ける。
3.歯ブラシに付いた汚染物をペーパーなどで除去し、水で洗浄して余分な水分は軽く拭き取ってから使用する(口腔内に汚染した歯ブラシを戻さない)
4.口腔ケア中に口腔内に汚染物が貯留した場合、スポンジで奥から手前にかき出すように清拭をおこなう。
5.仕上げは必ずガーゼや歯みがきシートで歯や粘膜を拭き取り、汚染物や水分の残留の確認をおこなう。
6.最後に咽頭部の水分や汚染物の貯留を確認する。
【質問】認知症で理解力の低下があり、なかなか口を開けてくれない方への対応方法を教えてください。
【回答】1.利用者の口腔内の状況を確認する。
2.自立性を尊重し、仕上げ磨きのお手伝いをする。
3.できる時にできるところまでして、無理強いをしない。
4.その方に合った口腔ケアの手順や物品の選択をする。
5.声かけや実況をしながら口腔ケアをおこなう。
6.気持ちの良いケアができるように心がける。
7.手短に、ていねいなケアをおこなう。
8.ケアの最後には、口腔ケアに協力してもらったことに「ありがとう」という感謝の言葉を忘れずに声かけする。
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