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更新日:2021年11月22日

【広報させぼ・2021年12月号】産学民関係者インタビュー:学校(紙面:8・9ページ)

学校:ホスピタリティ観光人材の育成拠点に

九州・長崎国際観光人材育成コンソーシアム準備会
(長崎国際大学間社会学部際観光学科科長)
座長井上英也さん

〇IRではどのような人材が求められますか。

IR設置運営事業者が海外の国有企業グループ「CASINOS AUSTRIA INTERNATIONAL JAPAN(カジノオーストリアインターナショナルジャパン)」(以下「CAIJ」という)に決まり、これからの観光産業で求められる人材は大きく変わります。

大きな違いとして、日本的経営から外資系のグローバルな視点による経営に変わり、人材には「高い専門性」が求められるようになります。

例えば、事業運営に関することは基より、マーティング、ファイナンス、人事など、概論的な専門性よりもっと細かい仕事レベルでの専門性が求められ、入社して育てるよりも即戦力となる人材が求められます。

これまで日本では何でも応用のきく人材(ゼネラリスト)が求められ、それに合わせた教育が行われてきました。しかし、これからは専門性の高い人材(スペシャリスト)が求められるようになり、より専門的な深い教育が必要となってきます。

加えて、これからの観光産業で国際競争を勝ち抜くためには、ホスピタリティ(おもてなし)あふれる人材も求められています。

こうした中、観光先進国のアメリカやスイスなどでは、ホスピタリティ人材を育成するためのホスピタリティマネジメントを専門とする高等教育機関が多く存在しています。

例えば、スイスでは4年間のうち1年半以上を海外での専門実習(インターンシップ)に充てており、専門知識を学びつつ将来に向けた実践教育に力が注がれています。

しかし、日本は残念ながらまだここまでの環境が整っていないのが現状です。

そのため、これからIRが開業するまでの間に日本でも学生たちが魅力的なキャリアを構築できる仕組みをつくり、IRで期待される人材を育成していくことが、これからの私たちの役割だと考えています。

〇九州・長崎国際観光人材育成コンソーシアム準備会では、どのような取り組みを行っていきますか。

九州・長崎国際観光人材育成コンソーシアム準備会は、地域の観光産業で活躍するグローバルな人材育成を検討する団体として設置しました。

海外からの観光客はその土地ならではの経験を求めて目的地を訪れます。

IRでは施設のことだけを考えがちですが、施設に限らず長年佐世保で培われてきた佐世保ならではの魅力をお客さんに対してPRしていかなければなりません。

そのためには、佐世保にIR以外で何があり、どのようなまちづくりが行われ、どのように魅力をつくっていくかなどをいろいろな視点で考える必要があります。

そのためにはCAIJが期待する人材を育成するコンソーシアム(共同事業体)が必要だと考え、2021年4月23日に長崎国際大学と長崎県立大学、県、市で九州・長崎国際観光人材育成コンソーシアム準備会を設置しました。

IR誘致は、大学や民間企業にとっても大きな好機だと思います。経済団体などこの好機を生かしたいと捉えている方たちと協力し合い、IRで期待される人材の育成やIRに対する知識を深める場をつくっていきたいと考えています。

また、国は2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円を見込んでいます(観光庁「明日の日本を支える観光ビジョン」)。

今後IRをうまく活かしていくために、未来を背負う子どもたちが早い段階から観光資源を生かしたまちづくりの意識を持ち、いろんな機会が与えられるようにしなければなりません。

そのため、これからは各高等教育機関が得意とする専門分野を集結し、新しい取り組みにも挑戦していきたいと思います。

例えば、長崎国際大学・国際観光学科では、日本人の学生以外にも留学生が多数在籍し、身近なハウステンボスなどの観光資源について学んでおり、20年の歴史があります。

こうした強みを生かし、大学などの垣根を越えて共通カリキュラムなどをつくることができれば教育の強い土壌ができると思います。

学生たちの学びの環境を整え、より専門性を高め、IRによって出口となる事業所(就職先)ができれば、学生たちそれぞれに目標ができ、より深い専門知識と経験が学べるようになると思います。

〇IRにどのようなことを期待していますか。

現在は新型コロナウイルスの影響によって世界的に人の動きが停滞していますが、ポストコロナで観光産業は再び大きく成長すると予想しています。

世界的な感染症の流行を経験し、私たち人間は改めて食べて寝るだけの生活がいかにつまらないかを実感し、観光が人に喜びを与えていることを感じています。

私は「観光は人に喜びを与え、人生を豊かにするもの」と考えており、人間が冒険したい、経験したいという好奇心を持っている限り、必ず以前のような生活に戻ると思っています。

米国を中心に世界的に読まれてる旅行雑誌「コンデ・ナスト・トラベラー」で、日本は世界で最も魅力的な都市の第1位から3位までを独占しました(東京、大阪、京都)。

日本が世界の注目を集める中、佐世保が観光の目的地として選ばれるためにも、IRには起爆剤になってほしいと思います。

佐世保が目的地に選ばれるようになれば多くの雇用が生まれます。

特に海外からの観光客は長期間滞在する傾向があり、その宿泊拠点として佐世保が選ばれるようになれば強みになります。

また、佐世保に人が住み着き、家族が増えることで、定住人口や交流人口の増加にもつながり、新たなチャンスも生まれます。

さらに、これまでは海外で活躍する人材が求められてきましたが、これから先は、いろいろな国籍の人と国内で一緒に働く社会になります。

こうした中、人の交流を通じてお互いの文化や習慣を共に理解し合い、日本人の心や慣習が国際的に広がる「内なる国際化」が進んでいくことを期待しています。

佐世保は昔から「多様性を受け入れる風土」があり、誰でも受け入れる基盤ができています。

IRを契機に佐世保の国際性が開花し、新たな時代の国際観光都市となることを期待しています。

【九州・長崎国際観光人材育成コンソーシアム準備会】(関係者とオンライン会議)

長崎国際大学と長崎県立大学、県、市の4者で設置したコンソーシアム(共同事業体)準備会。地域の観光産業で活躍するグローバルな人材育成を検討している。

お問い合わせ

企画部政策経営課

電話番号 0956-24-1111

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